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懐かしい「傘がない」
昨日の朝日新聞「天声人語」に掲載されていた記事より抜粋いたします。私にとっては懐かしいフォークソングである井上陽水の「傘がない」。ちょうど梅雨の季節で、突然どしゃぶりの雨に見舞われることから、こんなテーマを記事にしたのかなぁと推察いたします。「名曲『傘がない』を井上陽水さんが歌ったのはもう半世紀も前のことだ。新聞は深刻な事件を報道している、テレビでは国家の大事を論じている。〈だけども問題は今日の雨 傘がない〉。陽水さんはそう歌った。曲名の英訳は『ノー・アンブレラ』。『私は傘がない』と主語をつける訳に陽水さんは反対したそうだ。『傘は象徴なのです。〖俺〗の傘ではなく、人間、人類の〖傘〗なのです』。新聞やテレビが報じるのは、何やら実感がわかない、遠くの話ばかりではないか。もっと目の前の難題にあたふた振り回されているのが、私たち人間というものではないのか。作り手の問題意識が強く伝わってくる話である。」この歌がヒットしていた頃、私は高校生でした。それまでの歌謡曲と違って、社会問題を扱うフォークソングに夢中になったのは、世相の動向を多少なり知って、自分なりの意見を持つようになったことが原因だろうと思っています。私のさらに前の世代は社会問題に対し、面と向かって叫んだ世代でした。反戦フォークソングが主流で、大学紛争もありました。私はその後に続く世代だったので、先輩たちのように過激な行動には出ませんでしたが、社会問題をさりげなく垣間見せる歌に惹かれていったのでした。歌に纏わる主題は今でも変わっていないように思います。国際情勢が不安定になる中、心の置き場を求めている歌がしっかり存在感を示しているように感じています。楽曲の作り方が昔と変わりましたが、詞や曲が巧妙になっても、歌が何を主張しているのかを考えると、現代版「傘がない」が今も歌われていると私は思っています。