2024.07.05
昨日は東京都港区北青山にあるファーガス・マカフリー東京で開催されていた「アンゼルム・キーファー展」に行ってきました。ファーガス・マカフリー東京を私は初めて訪ねました。そこは2部屋の手ごろな空間があったので、美術館と言うよりギャラリーとして、現代アートを扱っている場所なのかぁと思いました。現代ドイツを代表する芸術家アンゼルム・キーファーは79歳になり、その制作現場を撮影した「アンゼルム”傷ついた世界”の芸術家」が現在映画館で公開されているようなので、近いうちに観に行こうと思っています。監督は「ベルリン天使の詩」や「パーフェクトデイズ」を作ったヴィム・ヴェンダースで、私の好きな映画監督です。アンゼルム・キーファーの作品を、嘗て私は箱根にある彫刻の森美術館の大きな室内を使って展示されていたのを見ています。ナチス・ドイツによる崩壊した社会体制、そして瓦礫と化した街に生まれたキーファーは、経歴によるとヨーゼフ・ボイスに師事しており、インスタレーションが物語る崩れた風景と生々しい物質感は師匠の影響かもしれないと思いました。本展では立体作品や平面作品を合わせて20点ほど展示されていて、立体作品は全てガラスケースに収まっていました。ガラスケースを通して見る風景は、コンパクトになっているとは言え、その主張するところは衝撃的で、かなりインパクトがありました。罅割れた大地、枯れて風化した植物群、無造作に積まれたレンガ、薄手の衣類が上から吊るされていたところは日常性が垣間見えて、具現化された終末の世界を描いているように感じました。戦後のドイツ復興とともに心から消し去ることが出来ない第二次世界大戦の反省と罪悪感、何がキーファーをここまで突き動かしているのか、時代の移り変わりでリセットされて、人々が次第に忘れかけていく惨劇を、象徴性をもって私たちに突きつける作品は、世界が不穏な動きを見せている現代だからこそ、私たちが考えていく必要を感じていくべきだろうと思いました。