Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「遥かな国・遠い国」について
「世紀末芸術」(高階秀爾著 筑摩書房)の第二章「世紀末芸術の背景」の最後に「遥かな国・遠い国」の単元があり、これについて気に留めた箇所をピックアップしていきます。「18世紀のロココ趣味による見事なスタニスラス広場を持つロレーヌ地方の中心ナンシーの町は、この華麗な工芸運動の中心であり、ガレ、マジョレル、ヴァラン等幾多の多彩な作家たちを輩出せしめた。世にナンシー派と呼ばれるこれら工芸家たちの活躍は、世紀末芸術形成の大きな要因となり、フランスの伝統とアール・ヌーヴォーとを結びつける役割を果たした。」中世への憧れもありました。「造形芸術の面において中世精神の昂揚に大きな影響を与えたのは、18世紀後半の異色作家ウィリアム・ブレイクであった。ブレイクは、上に述べた強い宗教心と、ロマン主義的幻想性とをふたつながら同時に備えており、しかも単に画家であるにとどまらず、詩人として、また信仰の人としてその神秘主義的思想が世紀末の人びとの趣味に投じ、19世紀後半において、いっきょに歴史の前面に登場してきたのである。~略~この時代における中世への憧憬の最も驚嘆すべき成果として、カタロニアの生んだあの幻想的天才アントニオ・ガウディの名を忘れるわけにはいかない。彼はしばしば、歴史を越える異端の天才として、歴史から切り離されてあつかわれるが、実は世紀末の華やかな芸術運動の重要な一環をなしているのである。」またケルト芸術にも興味の対象が及びました。「(スコットランド、北欧等の)彼らの創造意欲を駆り立てたケルト芸術の遺品のうち、とくに注目すべきものは、ひとつはスカンディナヴィアのヴァイキングの芸術であり、もうひとつはアイルランドのミニアチュアであった。」最後に日本からの影響を述べた箇所がありました。「日本版画の持つ装飾的特質は、一方ではロセッティからビアズリーにいたるイギリスの画家たちの絶妙な線描表現の中に、他方ではゴーガンからナビ派の画家たちにいたる綜合主義的画面構成に、明確に見てとることができる。」今回はここまでにします。