2014.07.14
自作が発掘された都市景観をイメージしていることから、とりわけ都市についての論考が気になるところです。私は西欧都市の廃墟を見て、その外観だけではなく人々が住まうコスモロジーとしての原風景にも思いを寄せています。現在読んでいる「視線とテクスト」(多木浩二著 青土社)に興味を持った箇所があったので引用します。「現在のとりとめもなく拡散した都市に比較して、かたちをもち、閉じた空間であった時代の都市を解読する面白さも、たんに廃墟の懐かしい安心感に誘われるからではない。それは都市の記憶を思考によってよびさますことが、比較的容易に行なえるからである。都市の原風景、母型、場所などを回復することである。~略~都市の解読を通じて私たちが理解するのは、それが古代都市であっても19世紀の都市であっても、その空間を構成している道路や建物の配置、祭りの日の出来事、日々の生活の細部ばかりではない。~略~街路が子供たちを追い払うまでは、都市はざわめいた血が循環する生きた宇宙の混沌と別の秩序ではなかった。それをとりこんで形象化していたものである。細部が明らかになればなるほど、脈絡なく渦まくさまざまな事象が、ある象徴的な体系によって全体として調節され、統合されていることが見えてくる。具象のヴェールを透かし、都市というかたちをとってはじめて見えてくる無形の知がある。」