2016.03.02
新宿区にあるアート・コンプレックス・センターで中国籍の若いアーティスト2人による展覧会が開催されているので勤務時間終了後に見てきました。そのうちの一人が相原工房に出入りしている子で、彼女はもう学生ではありません。昨年大学院修士課程を卒業し、同じ大学に副手として就職しているのです。彼女の修士論文がなかなか素晴らしいテーマだったので、昨年は日本語のサポートを兼ねて手伝いました。中国語的な言い回しを日本語のニュアンスに合ったように変える作業でしたが、論文と制作のテーマが一貫され、思索と視覚媒体が両輪となった自己表現を作り上げようと努力していました。テーマの設定も彼女の生まれ育った山東省済南市に関連していて、泉の美しい街に起因した「水」をテーマに選び、中国の山水画や日本の浮世絵等の日本画に見られる象徴的な「水」の表現を比較検討する論法で、芸術を通して人間と水との関係性を問う論文を、彼女は時間をかけて書き上げました。平面作品も波模様を細かく配置して、水のもつ表情を豊かに捉えていました。この2人展でも彼女の「水」は余すところなく表現されていて、今までの努力の蓄積を物語るものでした。もう一人の中国籍のアーティストは現在大学在学中で油絵を専攻しているようですが、感覚的には優れた力を持っていて、その思索に富む画面から深遠な世界が立ち現れていました。朦朧とした大気の中でさまざまな想像を与えてくれる世界観を持っていると思いました。因みに2人展「生々流転」は6日の日曜日までアート・コンプレックス・センター2Fで開催されています。