2016.07.26
先日、横浜美術館で開催している「メアリー・カサット展」に行ってきました。メアリー・カサットはアメリカ人の女流画家で、19世紀から20世紀にかけて印象派の潮流の中で活躍した人でした。来日していた多くの絵画は典型的な印象派の手法で描かれていましたが、どれも色彩豊かで溌剌としていて、モチーフに多く取上げていた母子像では温かみと強い絆をを感じさせてくれました。この時代に女性アーティストとしての地位を獲得するには偏見や障害があったと察しますが、図録によると「男性が支配的な分野での女性アーティスト、ヨーロッパの美術の中心地そして伝統の中で仕事をするアメリカ人、古い家柄や職業的つながりによって形づくられた世界での新参者として(カサットはひとつのモデルを提供した)。このような障害を乗り越える彼女の方法は、障害それ自体と同様に複雑で矛盾したものだし、時が経つにつれてその方法も変化した。」(N・M・モシューズ著)とあるように、性差を超えて認められることは、現在からすれば大変なことだったでしょう。パリに住み、彼の地の先進的な批評家たちによって支えられ、自らの才能を高いレベルに引き上げられた当時の芸術環境は、カサットにとってこの上なく大きかったのではないかと推察できます。「人生の最後まで、カサットは熱心に自らの時代の芸術とさまざまな問題について探求を続けた。それは歴史を記録するというより、自身の芸術を通して、人生の質、とりわけ女性、そして未来の世代の生(life)の質を高めようとするものだった。」(N・M・モシューズ著)