Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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日本人画家に関する三題
「シュルレアリスムのために」(瀧口修造著 せりか書房)の、日本人画家に関する三題を取り上げます。ひとつは28歳で早世した画家飯田操朗に関する著述です。「作画生活を通して、飯田操朗がわたしたちの前に現われた期間は、まことに短かいものであった。この短かさが、彼の創造を、未完成なものにしたことは争われないとしても、限定を余儀なくされた彼の若さは、彼の瞬間的な時間を凝縮せしめるのに充分であった。しかも、彼のような時代と位置にいた若い画家としての意欲と体験とは、決して単純なものではなかったはずである。彼自身、目まぐるしい転換を短かいあいだに意識しなければならなかったであろう。こうした廻り燈籠のような反映のなかで、彼の絵は描かれはじめた。その影響はいくつかの習作のなかに、もっとも素直に感受されている。~略~キュビスム以後の、分析的な方法や、誇張的な方法が、彼のエチュードを強く支配してきたことを見のがしてはならない。むしろ彼の積極的な意欲は、同時代の同じミリューの作家たちと同じく、キュビスム後期からシュルレアリスムまでの、近代絵画の発展をわが国の西洋絵画の特殊な錯雑性のなかで、間断なく眺めてきたのであった。」次に桂ユキ子に関する文章です。「桂ユキ子のコラージュ・絵画を阿部芳文が撮した写真を見て、わたしは甘んじて写真のトリックにかかることをよろこんだ。この写真のなかに、慣習的な同化法則によって、重複物の世界をさがすとき、人は意外な花束に出会うだろう。それが桂ユキ子のコラージュである。」最後に「飾窓のある展覧会」を訪れた著者に鑑賞者から話しかけられた言葉を引用いたします。「わたしは偶然この会場で見知らぬ中老の一紳士からの熱心な質問を受けた。わたしたちの話は物体にまではおよばなかったが、話の末に、『かつてわたしは北陸の山脈で不思議な皺と形をした大きな古岩に出会った。わたしには地質学上の知識はないが、その石全体に妙に謎のような深い印象を与えられた。いまこの展覧会で図らずもその妙な印象の謎が融けるような気がする』とその人は語った。」今回はここまでにします。