Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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東京の2つの展覧会散策
昨日の夕方に工房で窯入れを行ない、窯以外のブレーカーを落としました。今朝は窯の温度確認に行って、そのまま家内と東京の展覧会を2ヶ所回ることにしました。まず、上野の東京都美術館で開催されている公募団体「モダンアート展」。これに出品しているのは、私と同じ教職に就いていた人で、当時は私同様二束の草鞋生活で多忙を極めていましたが、漸く彼も退職を迎え、画業一本になったのではないかと推察しています。作風は抽象で、絵の具を流したり、金属質のものを貼り付けたりして、独特な世界観を作っていますが、退職してから作品の密度が上がり、見応えのある作品に仕上がっていました。毎回彼から招待状をいただいているので、今年も家内を誘って「モダンアート展」に行ってきました。次第に私は彼の世界観に接するのが楽しみになっていて、継続の力は大きいなぁと感じます。上野公園は桜が散り始め、満開の季節が過ぎようとしていましたが、桜の並木道には相変わらず外国人観光客が多く、花見客で混雑していました。次に私たちが向かったのは竹橋で、ここにある東京国立近代美術館で開催されている「ヒルマ・アフ・クリント展」を見てきました。本展はネット記事で知りました。カンディンスキーやモンドリアンに先駆けて抽象絵画を創案した女流画家と言う宣伝があったために、私は近代美術史から隠れた存在だったのかなぁと思いを馳せましたが、彼女自身が美術を本格的に学び始めた時期に、神智学やスピリチュアリズムに関心を持ったことで、芸術哲学とはやや異なる思考があったと私は理解しました。その霊感を具現化した絵画に、私はカンディンスキーやモンドリアンのような革新性を見るというより、何か別の観点で作風が抽象になったのではないかと思い至りました。であるからして、私は数量ともに圧倒的な大きさを誇る彼女の作品を見ても、自分の感性が靡くことがなく、とりとめのない印象を持ったのでした。詳しいことは図録を読んで、改めて後日感想をまとめますが、これだけの作品群を見て感心できなかったのは初めての体験かもしれません。それはそれで初めてのことなので、鑑賞によって自らの感受性を知る手掛かりになるだろうと思っています。