2025.05.02
「近代絵画史(上)」(高階秀爾著 中公新書)の「第3章 新古典主義とロマン主義」について気になったところをピックアップしていきます。時代を代表する画家が3人登場します。まず、ダヴィッド。「新古典主義の中心的存在は、何と言ってもジャック=ルイ・ダヴィッド(1748-1825)であった。ゴヤとほとんど同じ時期を生き抜いた彼は、強い意志の力と、確実な職人的技術に支えられた厳格な画風とによって、新古典主義の美学を完成し、それを革命時代と帝政期の代表的様式にまで育て上げた。ダヴィッドの登場によって、18世紀の優雅艶麗なロココ趣味は、男性的な英雄主義にとって代われることとなったのである。」さらに劇的で短い生涯を閉じたジェリコーも登場しますが、次に取り上げる画家はアングルとドラクロアです。「アングルは、いわば新古典派にとっては、最後の切り札だったのである。そのため、《ルイ13世の誓い》は、サロンの主催者によって特別華やかな扱いを受け、アングル自身もびっくりするほど大きな成功を収めた。一方、ドラクロアは、2年前のサロンにはじめて登場した時から、一部の人々から注目されていたが、この年、《キオス島の虐殺》によって、一躍革新的な若者たちのあいだの中心的存在となっていた。1824年のサロンにおけるこのふたりの出会いは、その後40年にわたって美術界を二分することになる宿命的な対立の、いわば、出発点だったのである。~略~1855年、パリではじめて万国博覧会が開催された時、アングルとドラクロアにそれぞれ特別に一室が提供され、その画業の全貌を示す回顧展が催されたが、そのことはとりもなおさず、19世紀中葉におけるこのふたりの巨匠の重要な位置を物語るものと言ってよい。アングルがその比類ないデッサン力によって、官能性にも欠けていない純粋な美の世界を創り出したとすれば、ドラクロアは、色彩豊かな想像力によって、絵画表現の可能性を大きく拡げたのである。」今回はここまでにします。