Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「フラ・アンジェリコ」について
「芸術家列伝1」(ジョルジョ・ヴァザーリ著 平川祐弘・小谷年司訳)の「フラ・アンジェリコ」について、気に留まった箇所をピックアップいたします。「フラ・ジョヴァンニ(アンジェリコ)は、質素で品性の清純な人物であった。謙虚な性格を物語る良い話がある。ある朝、法王ニコラウス五世に食事に誘われたが、相手が最高権力者の法王であるのをつい失念して、修道院長の許可なしに肉は食べられないと遠慮したという。フラ・ジョヴァンニは俗界の喧躁をまったく遠ざけ、美しく簡素な生活をおくり、貧しき人々の友であった。よって今では、その魂は天上の友として遇されているだろう。絵画において努力を惜しまなかったが、聖者を題材にとったものしか扱わず、その気になれば金持になれたが金銭には無関心であった。逆にわずかなものに満足することこそ真の裕福であると、繰り返すのが常であった。多くの人を使う身分にもなり得たが、それも望まなかった。他人につかえるほうが苦労は少なく、間違いはないというのである。修道院の外でも内でも、栄誉は意のままであったが、それに重きを置かず、地獄を避け天国に上がること以外、いかなる現世の栄誉をも求めなかった。信仰に生きる人のみならず、すべての人間が探し求めるべきであり、しかも神と敬虔な生活においてのみ見出すことのできる栄誉に比すべきものがあるだろうか。フラ・ジョヴァンニは人間味あふれる節度ある性格で、清らかな生活を送っていたため、俗世の罠にはまらなかった。自分のような仕事に従事するならば、静かな憂いのない生活を送るべきだとも、キリストにまつわる話を描くなら、いつもキリストの近くにいなくてはならないとも、繰り返し言っていた。修道僧といるときも、信じがたいことだが、怒った顔ひとつ見せなかったのは立派というほかない。友をさとすにあたっても、素直な微笑をたやさなかった。」今回はここまでにします。