Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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京橋の「彼女たちのアボリジナルアート」展
今朝、ロシア・カムチャツカ半島付近でマグニチュード8.7の地震が発生し、津波警報が発令されました。JR等鉄道各線が運転を見合わせる中、私は午前中工房で陶彫制作をしていましたが、午後になって東京の美術館に出かけて行きました。何もこの日でなくてもいいのではないかと思いましたが、東京での用事もあり、そのついでに美術館にも寄ろうと思っていたのでした。見た展覧会は「彼女たちのアボリジナルアート」展で、京橋にあるアーティゾン美術館で開催していました。「アボリジナルの人々は文字を持たなかったため、儀式、踊り、歌、ボディ・ペインティング、岩に描く壁画、砂絵など、様々な視覚的・身体的表現を通して文化を継承してきた。~略~アボリジナル社会のジェンダー構造が、主流社会の男性中心的価値観から理解され、それがアートの評価軸にも反映されたと理解できる。しかし1980年代後半以降、アボリジナル女性作家たちは次第に台頭し始める。この動きは、主流社会における女性の社会進出や世界的なフェミニズムの運動とも軌を一にしている。~略~アボリジナル・アートを単に異文化や異国の歴史として外から眺めるのではなく、その作品や表現に触れることを通して、自らの文化や歴史に呼応する『こだま』を聞き取り、共鳴し、共振する接点を見出すきっかけとなるのではないか、という思いである。」(上田杏菜著)これは図録に書かれていた導入部分で、たしかに私にも「こだま」が聞き取れたように感じました。色彩や形体を通して他民族のもつ独自な世界観を、私は自分の中に取り入れようとする癖が身についていると思っています。とりわけ私の興味は、「ワンダウイの魚捕り網」と「ジャブ・デザイン」と称された作品に向けられ、これはシロアリによって内部が空洞化した幹を故人の遺骨を納めるための容器として伝統的に使われていたものを、芸術作品としてインスタレーションへと展開したようで、私には美しい空間作品に見えました。そのデザイン性は真似のできない要素を持っていて、生活に密着したものだからこそ、嘘偽りのない美的感覚が内蔵しているようにも思えました。