Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「十五場面の図像の源泉」について
「聖母像の到来」(若桑みどり著 青土社)の「第6章 日本における聖母のタベルナクル」は4つの単元から成っていて、今回は「3十五場面の図像の源泉」を取り上げます。本単元は15の場面についてひとつずつ引用することが難しいため、私が気を留めた箇所だけ取り上げさせていただきます。「画家はただ一つの原本を模写するのではなく、主題に応じて、個々に自らの判断で別個のテキストを選択して参照しているということであり、一個のテキストが見つかればすべてが判明するものではない。これら15の画面の図像はその小ささにもかかわらず、ロザリオの黙想の内容そのものであり、信仰にとって重要な意味をもっていたから、細部にいたるまで熟考されて描かれたことがはっきりとわかる。」キリストの降誕についての引用です。「イエズス会の理想とする図像は、ナダールの、『洞穴と木の粗末な屋根、乾草桶の上の光る嬰児、ひざまずいて礼拝する聖母、祈るヨセフ、嬰児の上及び傍らに天使、ロバと牛』となる。原田本では、ヨセフもマリアと同様に祈り、幼子はまぐさおけの中で光り輝いている。原田本図像がトレント以後の新図像プログラムにしたがっていることは明白である。」次は磔刑です。「受難の最後の場面は『磔刑』である。悪しき盗賊、イエスの衣服を賭ける刑吏、ローマの指揮官や馬、遠景で見守る信者群など、副次的人物が多数描いてあり、そのためにロザリオ祈禱には不向きであったらしく、ナダール版はここでは採用されていない。」最後に復活に関する引用です。「十字架が贖罪を表象するのに対して、復活は人類の救済を強調するものであるから、このほうが対抗宗教改革の精神を強く表現しているとされたのであろう。この図像は、左右相称、平明、聖母中心、父の役割(天地の創造)、子の役割(人類の救済)を明確化し、三位一体教義と純潔・善美なる聖母による化肉の教義を結びつけている点で、非常に完成した対抗宗教改革期の図像となっている。」今回はここまでにします。