Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

江東区の「光、凛とゆれる」展
横浜にある自宅からすれば、東京都江東区の木場公園にある東京都現代美術館は遠い美術館にあたります。今日は工房での作業は止めて、午前中から私一人で当館に向かいました。当館までの距離からすると頻繁に訪れられる美術館ではないのですが、興味関心のある展覧会に私は必ず出かけています。彫刻家多田美波は、私の学生時代に野外彫刻展で活躍されていた人で、鏡面磨きのステンレスで構成される野外彫刻に特徴がありました。今回の「光、凛とゆれる」展では、そこに辿り着くまで作風の変化が見られて、私には興味津々でした。作家の出発は絵画だったことに意外な一面を見ることが出来ました。しかも分析的キュビズムや未来派のような作風から幾何学的抽象に移行し、やがて立体になっていく過程は20世紀の近現代美術の潮流を彼女は体現していて、作家の造形思考が時代を先取りしているのではないかと私は考えました。さらに晩年の造形は建築との連携施行に発展していく経緯も示されていました。図録より引用いたします。「彫刻家において、表現の素地となる素材はとりわけ、作家の精神構造を表す独自性、主体性そのものを表す。その意味でも表現と素材の関係は極めて大きい。多田は、常に時代の持つ感性、時代が示す現代技術の可能性を、素材を通して受け止め、昇華して、自らの作品に映し込むという飽くなき挑戦をし続けてきた作家である。すなわち、その作品は自己の信念を貫き通す強い精神を内に秘めた存在の証しである。さらに多田の作家としての特異性に一つに、建築家とのコラボレーションを挙げたい。しかし、それは単に完成した建築空間に彫刻を配置し、自己作品の優位性を示すことや場との親和性を持たせるという関係性ではない。それは建築の内外を問わず、設置される場所に対する多田自身のこだわりによって生まれる新たな空間の発見だからである。数多くの事例を見ればそれは明らかである。」(細田雅春著)野外彫刻の代表的な作品に関する感想は稿を改めます。