2006.08.28
昨日のブログに具象に対する憧れを書いたのは、自分とは縁のない肖像彫刻について考える機会があったからです。先日長野県に行ってきましたが、碌山美術館に行く前に立ち寄った豊科近代美術館には高田博厚による肖像彫刻が数多く所蔵されていました。高田先生の著作は読んでいても、これほどたくさんの作品を見る機会が今までなかったので、少々驚いて感じ入るところがありました。高田先生は内外の著名人の肖像を作られている方で、音楽や哲学にも造詣が深く、理性と精神性をもった人というのが自分が捉えている高田博厚像です。確かに肖像には気品が漂い、巧みな表現に驚きました。ただ勝手な感想をもらすと、並べられている空間故なのか古さが目立ち、棺の中にいるような錯覚を持ちました。肖像彫刻は造形的な普遍さはあってもその人が生きた時代を移す鏡のようなもので、鑑賞する側には何か作品以外のものがつきまとう感じを残すのは自分だけでしょうか。