Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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ウィーンからイスタンブールへバスの旅
20歳代の終わりにウィーン生活を切り上げて帰国することになり、美術アカデミー修了を待って、数ヶ月の旅にでることにしました。1985年の夏から冬にかけてのことです。当地で生活費を賄っていたので、そんなに金銭的なゆとりがなく、それで思い立ったのが外人労働者が帰省するバスを利用して他国を周ることでした。ウィーンからトルコのイスタンブールまで行くバスがあることを調べて、これに乗ることにしました。当時ソビエト連邦を中心とする東欧諸国があって、それぞれの国に入るためビザが必要でした。旧ユーゴスラビアやブルガリアを通過するので、大使館に行って面倒な手続きをしてきました。バスは満員で、しかも一日では辿り着けず、休憩のたびに2人の運転手が客全員の手に香水を振りかけ(サービス?)、車中は中東の独特な音楽が流れ、昼も夜も走り続け、真夜中にイスタンブールに到着したのでした。観光バスではないので、ホテルの営業時間などに配慮もなく、夜中の街をさまようことが旅の第一歩になりました。