2026.06.24
私は毎日工房に通って作業に明け暮れています。平日も週末もなく朝9時過ぎには工房のカーテンを開けて、作業台の上に素材を置くのが私の習慣です。教職との二束の草鞋生活そのものの勢いで今も創作活動を継続していますが、私は自分の好きなことばかりやっているので、教職に比べるとストレスがないのです。毎日楽しいと思えるのが休みを必要としない理由で、たまに時間を空けて美術館やら映画館に出かけています。そんな私を見ていて、もう少し癒しの時間があった方が良いと家内は考えたらしく、水族館に行かないかと誘われました。水族館かぁ、最後に行ったのはいつ頃だろうか、江ノ島だったか八景島だったか記憶にありません。流行りのテーマパークより水族館が私には良いかなぁと思い立ち、今日は工房での作業の後で、家内と東京のアクアパーク品川に出かけました。自宅の横浜に近く、また都市型水族館という施設にも興味を持ちました。当館は品川プリンスホテル併設の室内水族館でプロジェクション・マッピングもあり、水槽もデザイン化されていて、なかなか洒落た施設でした。ただ、映像よりも実際の水槽で泳ぐさまざまな魚や海の生物の存在感に私の心は捉えられてしまいました。とりわけ珊瑚の美しさに目を瞠りました。自然はどうしてこんな色彩の組み合わせを考え出したのだろう、どうしてこんな形態を創り出したのだろうと人智を超えるパワーに圧倒されました。それは美術館で味わう名画より何倍も優れた色彩感覚といって差し支えないほど心に沁みる世界で、これを自分の造形に生かせないかと瞬時に思った次第です。人間は古代からそうした自然の生みだす色彩や形態を模倣して造形美術として体系化してきたわけで、芸術の根源的なものは全て自然の中にあると改めて私は気づきました。クラゲが浮遊する前で暫し佇んでいると、私と同じように心ここにあらずの人がいました。まさに癒しの時間で、呼吸が認められるだけのクラゲの究極の動きに何故か惹かれてしまうのです。彼らにとっては日常の世界でも、私たちにとっては非日常の世界。水族館を一歩出れば、品川駅の雑踏の中に紛れ込んでしまう私たちのリアルな日常が待っていたのでした。