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「ピラネージ版画展」へ…
東京都町田市にある国際版画美術館で現在「ピラネージ版画展」が開催されています。18世紀のイタリアで活躍した著名な版画家ピラネージは何かの図版で見ていましたが、内容を知ったのは谷川渥著「廃墟の美学」からです。以前この本に関するブログを書いた記憶がありますが、本で紹介されていたピラネージのオリジナルが見たいと思っていたところでした。公務の合間に急いで見た「ピラネージ版画展」でしたが、途中から目が離せなくなり、また最初の部屋に戻って初期から見直すほど気持ちが入ってしまいました。崩壊されたローマの遺跡の美しさ。透視図法で描かれた古代都市の景観の壮大さ。エッチングによる濃淡の遠近感。版画の中を目で散歩して、倒れた石柱に腰をかけて空を眺める空想に浸りながら、ピラネージ自身が奇想空想で描いた古代世界を堪能しました。現実にあったであろう在りし日のローマの姿と、崩れ去り草木が覆うローマの姿がともに印象に残り、人が構築したものの哀しさを感じることができました。