Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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土錬機・菊練り
今日はボランティアの子が工房を訪ねてくれました。美大でグラフィックデザインを勉強した子ですが、陶芸に関心があって手伝いに来たのです。まず二つの陶土の割合を決めて土錬機にかけることを教えました。それぞれの土を計量器で量り、少しずつ土錬機に入れて、完全に混ざったら菊練りをしてビニール袋に密閉するという作業です。「発掘シリーズ」の土の質感はこんな工程で得られるという話もしました。町の陶芸教室ではこんなことは教わらなかったと言って、土練りに新鮮な驚きと戸惑いがあったようでした。自分の土をアレンジして作る作業は、何度もテストピースを作って試行錯誤して得られるものなのです。ましてやそれに釉薬が加われば、その実験たるものは大変なものになります。陶芸家はそうしたメモを持っていて、轆轤を挽く作品の用途、大きさ等によって使い分けているのです。自分は焼き締めのオブジェなので、そこまでのテストはしませんが、大きな作品で強度を保つための工夫は必要です。今日初めて土に触れたボランティアの子は、やはり菊練りまではいきませんでした。こうしたことは習うより慣れろと言われます。まったくその通りで、土のこなしにかかる両手の力と角度の入れ具合は、見て覚えて体感するしかないと思います。陶芸には人を魅了する力がありますが、楽しいことと同時に技能的・職人的に耐えなければならない仕事もあることも忘れてはいけないと思います。              Yutaka Aihara.com