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萩原朔太郎「月に吠える」再読
田中恭吉の短い生涯の中で、田中が萩原朔太郎の詩集「月に吠える」の挿画を担当したことが、自分も田中恭吉という画家を知る契機になり、また稀有な才能を持つこの画家が世に出ることになったと考えられます。詩集「月に吠える」は自分が若い頃に親しんだ詩集ですが、最近復刻版を手に入れました。「田中恭吉 ひそめるもの」(和歌山県立近代美術館企画・監修 玲風書房)を読み終えた後で、田中の挿画の入った同詩集(萩原朔太郎著 日本図書センター)を再読しようと思っていますが、詩集は小説や随想と違い、通勤電車の中では内容が頭に入りにくいため、自宅で味わうことにしました。通勤電車の中では別の書籍を選びます。若い頃読んだ同詩集は若々しい感受性に溢れたものとして自分の印象に残っています。若竹が一直線に空へ伸びていくイメージがあるからです。おまけに恩地幸四郎の装丁が美しく、田中恭吉の絵を生かしています。珠玉の一冊として大切にしていこうと思います。