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「ツァラトストラかく語りき」を読み始める
「ツァラトストラかく語りき」(ニーチェ著 竹山道雄訳 新潮社)上巻を読み始めました。「ツァラトストラかく語りき」はR・シュトラウスの交響詩が有名で、S・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」のプロローグに使われていたので、多くの方が聴かれているのではないかと察します。あの壮大な曲の源になっているのが本書です。ただシュトラウスは本書に触発されて作曲した程度のもので密接な関連は薄いようです。さて、ツァラトストラとは誰のことか、これは他の解説を参考にすれば、ゾロアスター教の開祖のことだそうで、ゾロアスター教は紀元前に遡る古い宗教です。ニーチェは独特な語法で本書を書いていて、日本語訳の言い回しもこれに倣っているのでしょうか、諺めいた格調のある言葉になっています。ツァラトストラは序説において山上の観念界から現実の人間界に降りていき、自らの説法を行うことから本書が始まります。対話形式で進められる本書は、ツァラトストラの他に老賢者や綱渡り人、道化役者などが登場しますが、これは象徴であって人間そのものではないと考えます。決して読み易いとは言えない書籍で、文体に慣れるのにも時間がかかりそうですが、いつものように通勤の友にしたいと思います。今回は哲学と詩が混合したようなもので、ニーチェの論理には矛盾がつきものですが、そんなことより独特の感性で推し進めていくような感じを冒頭から持っています。考えることと感じ取ること、その双方を働かせながらニーチェ流世界観に触れていきたいと思います。