Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 共有する制作時間
10月最初の週末です。私は「発掘~群塔~」の陶彫による10体の塔の上部に挑みます。まず、陶土を土錬機にかけて土練りするところから始めました。それからまず初めの1体を作ってみました。先月作っておいた下部と組み合わせて、塔全体の様子を見ました。これでいけそうだと判断し、明日から量産に励みます。もちろん1体ずつ作って、それぞれに彫り込み加飾を施していきますが、次第に細くなる先端部分に気遣う必要がありそうです。今日は2人の若いアーティストが工房に来ていました。2人とも大学院生で東京芸大と多摩美大と学校も表現技法も異なりますが、目指すところは同じで、個々の創造世界を築こうとしているのです。2人とも将来に対する漠然とした不安を抱えながら、ひたすら制作に没頭していました。自分にも同じような時期がありました。20代前半は不安なあまり精神的におかしくなった時もありました。自分が二足の草鞋生活を始めるに至った決断も、今になってみればこれでよかったと思えるのですが、若い2人にはまだまだ迷いがあって、心の安定は当分やってこないのかもしれません。ただ、工房があることで制作に対する環境の保障があるところが昔の自分とは違います。今日も自分を含めた3人で制作時間を共有し、集中力を発揮しました。これは珠玉の時間と言えます。この時間が訪れるからこそ大袈裟に言えば生きているという実感があると言っても過言ではありません。自分は先月終わりに感じた緊張した制作状態が今月も続いていることを嬉しく思いました。「発掘~群塔~」も旧作に負けず劣らず手間のかかる作品であることは間違いありません。明日も続行です。