Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

東京広尾の「川端龍子展」
既に閉幕した展覧会の話題を取上げるのは恐縮ですが、台湾旅行があって展覧会の感想を取上げる機会を逸してしまいました。申し訳ありません。台湾旅行の前に東京広尾にある山種美術館に「川端龍子展」を見に行ってきました。天候が悪かったのにも関わらず、多くの鑑賞者で賑わっていました。川端龍子は人気のある日本画家です。会場芸術と異名を取るほど作品が大きく、また時事問題を画題に扱うことで、日本画には珍しいジャーナリズム絵画とも言われてきました。展覧会場には戦闘機に乗った自分を描いた巨大な「香炉峰」や「金閣炎上」がありました。川端龍子は20代で新聞や雑誌に挿絵を描いたことで、時事問題や社会の動向をいち早く画題に取り入れ、その独特な世界観を培ったようです。発表当時としては画壇の在野として地位を築いていたのでしょうか。画家集団の青龍社を立ち上げ、長年に亘って毎年のように作品を作ってきた経歴があり、エネルギッシュに大作に挑んでいた川端龍子の充実していた生涯が目に浮かびます。その中でも私は暗黒の中に身近な草花が浮かび上がる「草の実」に魅力を感じています。豪奢な雰囲気にも関わらず、どこにである草花が丹念に描かれた世界は、不思議なパワーを秘めていると思っています。私にとって何時間でも立ち尽くすことが出来る絵画が「草の実」なのです。図録の最初のページに愛犬を抱く川端龍子の近影がありました。クマと名づけられた小さな犬が可愛らしく、巨大な絵画を描く傍らでクマと遊ぶ川端龍子の姿を想像してみました。NOTE(ブログ)を書くためにパソコンに向かう私の足元に猫のトラ吉がじゃれついているように、何かホッとさせるものが作者近影にはありました。