Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「シュルレアリスムの作家像」について➀
「シュルレアリスムのために」(瀧口修造著 せりか書房)の「シュルレアリスムの作家像」について気になった箇所をピックアップいたします。ただし、本章は個々の芸術家の言葉を掲載しているため、前後半に分けて書いていきます。今日は芸術家の言葉の前に、その導入としての論考を中心にしていきます。まずシュルレアリスムで使われる技法の解説から。「コラージュとは、いわば既成の絵を切り抜いた貼り合わせ絵である。~略~ブルトンは『平凡な銅像でも溝のなかに立っていると驚異の対象となる。平常な位置から対象を追放して夢のなかでしか見られないような、異常な位置に置くことが芸術の重要な機能である』といっているように、コラージュは超現実主義詩法の完全な絵画的適用であるといわねばならない。」次にフロッタージュについて。「フロッタージュ(摩擦画)はエルンストの発見した手法であって、子供がよく銅貨や木理に紙を当てて鉛筆を擦って遊ぶ手法である。~略~近代絵画における触覚の役割は非常に大きなものであるが、彼はこの触覚的な苛立たしさのいわばネガティヴを取るために、あらゆる材質に応用して見た。これは物質に内在する不思議な呟きを触発するのであった。」次はダリの絵画論について書かれた箇所を引用いたします。「彼は偏執狂的な絵画によって、ヨーロッパの絵画史を作りかえているのだ。近代絵画は立体派以後、造型的様式はいよいよアブストラクトな傾向を帯びて来たのであるが、ダリはむしろこうした系統の全き対蹠点に位置している。彼はイギリスのラファエル前派に関する特異な論文のなかで、セザンヌの林檎はプラトニックな食べられないゴツゴツしたものであるが、ラファエル前派の描いたそれは水々しく形態的にも真に重力と弾力をもった感性的な林檎であると歎賞しているのは、現代絵画の形態学に興味ある暗示を与えるのである。彼の一定義にしたがえば『美は可食的である』ということになる。」今回はここまでにします。