Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 工業製品と彫刻
週末の日曜日になりました。週末には創作活動について書くことにしています。1週間前になりますが、「ブランクーシ展」で見た金属による抽象彫刻のことに触れたいと思っています。現在の眼から見れば、磨き抜かれたシンプルな彫刻は、この彫刻が作られた当時に比べれば、どこにでもある形体になっていて、量産されている工業製品のようにも見えてしまいます。ブランクーシが飛行機の展示会に行き、そこで目にしたプロペラを見て、今後彫刻を作る必要があるかを他の芸術家に問う場面があったことが、どこかの書籍に書かれていました。確かにステンレスやアルミ等の工業素材を彫刻に使用するとなると、工業デザインとの関わりがあるだろうと思います。デザインとアートでは用途があるかどうかの違いはあっても、彫刻によっては、美術館で見れば芸術作品として認知したとしても、その形体が別の場所に置かれていれば、果たしてそれが芸術作品として認知されるかどうか、一般の人の眼から見れば、分からないのではないかと思うのです。本音を言えば、私がステンレスやアルミ等の工業素材を作品に使わない原因がそこにあります。私の学生時代は、教壇に立っていた教授たちがステンレスやアルミ等を使った大きな彫刻作品を野外に展示して、それが美術雑誌等で話題になっていました。私もそれがカッコ良く見えて、自分も将来はそんな建築性が強く、磨き抜かれた作品を野外に置きたいなぁと思っていました。私は元々工業デザイナー志望で、自動車のシャープなデザインを作るのが憧れでもあり、それを止めて彫刻に変えたのですが、それならデザイナーとして頑張っていても良かったかもしれないと思うこともありました。現在私が使っている焼き締めの陶土は、さすがに工業製品とは言えず、寧ろ原始性の強い素材です。土器か陶彫にしかならない素材を私が愛用しているのは、そんな要因があるのだろうと思っています。