Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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鳳翔館の「雲中供養菩薩像」
先月、京都に出張で出かけた折り、宇治にある平等院鳳凰堂を訪ねました。コロナ渦の影響で観光客は少なくて、仏像鑑賞には最適でした。私が本尊の阿弥陀如来坐像の周囲の壁に配置された「雲中供養菩薩像」を見たのは随分昔のことになりますが、その演出に興味津々となり、それ以来「雲中供養菩薩像」の虜になりました。像は全部で50体以上(展示されている像は26体)にもなり、雲の上で楽器を演奏したり、立って舞っている様子は、私のそれまで持っていた仏像の概念を吹き飛ばしました。平等院に暫く来ないうちにモダンなミュージアム鳳翔館が出来上がり、「雲中供養菩薩像」はそちらに展示されていました。以前、東京の博物館で見た「雲中供養菩薩像」も照明を当てられて、鑑賞するのに最適な配慮がなされていましたが、今回もじっくり鑑賞できました。「雲中供養菩薩像」は1053年(天喜元年)本尊の阿弥陀如来像とともに仏師定朝とその一門によって作られたとされています。その技法を図録から拾います。「寄木造の技法とほぼ平行して完成された木彫技法が割矧造である。これは頭体の幹部を一木で造り、適当な位置で木目に沿って割り、内部を刳ってから再び合わせるもので、寄木造と同様に割首も行われる。~略~この技法の完成した姿が、まさに雲中供養菩薩像に見られるのである。」また図録には仏師たちの様子も書かれていました。「雲中供養菩薩像が建立された頃には、その(仏師の)組織化がさらに発展していたと想像されるが、これらの像に見る作風や技法の多様さを考慮すると、必ずしも定朝の権威によって縛られることなく、各仏師の個性を重んじる形で造仏が行われていたように思われる。」また当時の時代背景も描かれていました。「雲中供養菩薩像の構想の背景に奈良時代の作例との関係が想起されるが、菩薩が雲に乗る形式や霊芝雲をまとめた雲の形など正倉院に伝わる麻布菩薩と一脈通じることも興味深い。」(全て岩佐光晴著)今見ても新鮮な「雲中供養菩薩像」。雲の形やたなびく布は現代のアニメーションにも利用されているのではないかと私は思いました。もちろん私のRECORDにも使わせていただいています。