Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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個展に来廊してくれた旧友
東京銀座のギャラリーせいほうで私の個展が始まっていますが、毎日ギャラリーにいるとさまざまな人たちが来廊していて、私自身は去来する思いに耽ってしまいます。今日はオープニングに来られた高校の同級生から連絡をしていただいたもう一人の同級生のことを書こうと思います。今日の午後になってやってきた旧友は、ベテラン俳優で映画監督でもある竹中直人さんです。彼と私は高校時代に美術系の大学に行こうと相談しあい、受験用の予備校に一緒に通っていました。彼は多摩美術大学、私は武蔵野美術大学と別々の学校に進学してしまいましたが、彼は大学で映像研究会に入り、自作自演の映画を撮っていました。そのうちコマーシャリズムに乗ってデビューを果たしたわけですが、同時期に彼は青年座に入り、演技を一から学び直し、本格的な役者への道を歩み始めました。浮き沈みの激しい芸能界で、彼が芯の通った演技で一目置かれるのは、持ち前の真摯な姿勢と絶え間ない努力の賜だろうと思っています。映画監督をやったことは美術を専攻したことが所以になっているのではないかと察しているところですが、もう一度発想豊かな新作映画が見てみたいと私は彼に注文をつけました。私も教職をやりながら創作活動を続けてきたからこそ、こうして彼と再会する機会を持てたのだろうと思っています。10年くらい前には住む世界が違うと私は思っていたにも関わらず、クリエイティヴ・シーンが交じり合う機会が持てたことに、今も信じられない思いになります。それでも彼と会えば、高校時代に記憶が戻ってしまい、二人でデッサンに明け暮れた当時が甦ります。今も変わらない自分がそこにいました。その時点からどのくらい自分は己を広げられたのか、お互い確認しあった今日のことを忘れないでいこうと誓った一日でした。