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「序論・歴史的評価」について
「ピエロ・デッラ・フランチェスカ」(アンリ・フォション著 原章二訳 白水社)の「序論」と「第1章 歴史的評価」のまとめを行います。本書を読み進んでいくと、美術作品の宝庫であるイタリアに関して、私自身が表面的で概観的な知識しか持っていないのに気づかされて、今まで西洋美術をしっかり学んでこなかったことを悔やむ結果になっています。現代美術を実践する上でも避けて通れないイタリアの偉大な歴史をもう一度振り返る機会のひとつにしたいと考えます。さて、画家ピエロ・デッラ・フランチェスカは生涯の資料が少なく、残された絵画作品でしか画家本人に迫れないことが分かりました。「序論」では次の文章を引用いたします。「ピエロ・デッラ・フランチェスカに対して、絵画の諸問題はどのように現われただろうか?それはむろん、相互に密接に結びついた形で出現したのである。それゆえ問題を分けて考えるのはむずかしい。とはいえ、まず最初に空間構成の問題があったことは疑えない。各時代の空間処理法は、それだけで精神史の重要な一章を成すと私は思う。ついで形体の秩序、つまり形体の比をいかに決定するかという問題があっただろう。そして造形、すなわち比の決定された形体を具体的にどう描くかという問題があり、最後に来るのが詩の問題、つまり形体からどのようなポエジーを生むかという問題であった。」次にピエロが再発見される経緯が「歴史的評価」にありました。「19世紀初頭にいたるまで、つまりスタンダールの『イタリア絵画史』が世に出るまで、ピエロはいわば知られざる画家としてとどまったのである。~略~ピエロの真の再発見、歴史的な再発見とはいわないにせよ、すくなくとも方法的に一貫した再発見は1864年のカヴァルカセッレとクローの共著『イタリア絵画史』をもってはじまる。この著作を契機として多くの学者がピエロ研究に従事し、古文書が渉猟され、作品の鑑定が始まったのである。」