Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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新作の窯入れ第1号
今まで8月に窯を焚いたことはなく、これも4月から彫刻家1本になったことで制作工程の進行が早くなった要因なのです。私の作品は釉薬を使わないため素焼きをやりません。よく乾燥させて、いきなり本焼きをやってしまうのです。窯に入れた後、スイッチを入れると窯の周囲は熱を帯びてきます。工房内が暖かくなるので、真夏には焼成はやれないかなぁと私が勝手に思っていたことで、勿論陶芸をやっている人たちは季節に関係なく窯入れをしています。陶の面白さはこの焼成という制作工程にあると言っても過言ではありません。陶土を混合させること、立体の厚みを均一にすること、内包する空気を抜く穴を空けておくことなど、高温に耐える条件を満たして、乾燥した陶土を窯に入れます。最初から条件が決まっている上で塑造をやっているので、発想から成形、彫り込み加飾に至るまで、全てコントロールをして造形しているわけです。窯内では石化という現象が起こって、土肌は驚くべき変化を遂げます。窯には炎神がいると私が感じている所以で、炎神の手にかかり、作品は鎧を纏って私の前に現れると私はイメージしています。私は陶彫を始めて以来、土の色に拘ってきました。錆鉄色に憧れがあって、実際に鉄で作って錆びさせる方法もあるのですが、敢えてそこを陶にしているのです。これは模造の面白さと言うべきか、陶土は鉄よりも微妙な面が作れるところが気に入っています。そのため鉄のように見せる工夫として、成形後の指跡を消しています。今日、新作第1号となる窯入れを行いました。窯から出せるのは土曜日になります。新作は有機的な立体なので、昨年のものと趣が違っていて、ちょっと楽しみです。