Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「聖十字架伝説」について
「ピエロ・デッラ・フランチェスカ」(アンリ・フォション著 原章二訳 白水社)の「第2章 生涯と作品」の中の「聖十字架伝説」に関わる部分をまとめます。冒頭にこんな文章がありました。「アレッツォのサン・フランチェスコ聖堂に描かれた《聖十字架伝説》は、ピエロ畢生の大作であるばかりか、イタリア芸術における最も美しい作品のひとつに数えられる。~略~ピエロの選んだ題材は素晴らしいものだった。伝説とは、無数の人間が信仰を核に織りあげた不思議な夢であり、精神の豊かな富である。そうした伝説のなかからピエロが選び出したのは、十字架の木にまつわる詩情豊かな物語であった。」文章は1から10まで単元があり、ひとつずつ骨格となる文章を引用することにしました。まず「1.アダムの死」では「聖十字架の木は、死んだアダムの口のなかに植えられた小枝から生じた。」とありました。「2.シバの女王の聖木への礼拝とソロモン王との会見」では「小枝は立派な成木となり、ソロモン王の時代にまだ命を保っている。ソロモン王はその見事さに心を打たれ、エルサレム神殿の建材として伐採させるが、使うべき場所を見出せずシロアムの池に架ける橋桁とする。」とありました。「3.聖木の運搬」では「ピエロは数学者として見事な抽象力を発揮する一方、事物を注視し、橋桁の木理を克明に描いて、なにものをも偶然に委ねない。物の実相にこころを砕くのである。」とありました。「4.受胎告知」では「左側に天使、右側に聖母、それを畏怖すべき永遠の御父が見おろしている。」とありました。「5.コンスタンティヌスの夢」では「マクセンティウスとの戦いの前夜、兵に守られた幕舎で眠るコンスタンティヌス帝に勝利を告げる輝く十字架が出現する。」とありました。「6.コンスタンティヌスの勝利」では「旗竿が上がり、軍旗が風にはためいて鳴り、白や黒の悍馬がいななく。」とありました。「7.ユダの拷問」では「ヘレナは十字架の所在についてユダの教示を仰ぐ。だがユダはそれを拒絶し、井戸に投げこまれる。飢えに苦しみ助けをもとめるユダは、材木に架けられた滑車のロープで引き上げられる。」とありました。「8.聖十字架の発見と検証」では「ヘレナは聖十字架の発掘に立ち会っている。」とありました。「9.ヘラクリウスとコスロエスの戦い」では「発見されてから300年後、聖十字架はペルシャ王コスロエスによってエルサレムから持ち去られる。」とありました。「10.聖十字架の賞揚」では「戦いに勝ったヘラクリウス帝は、聖十字架をエルサレムに持ちかえる。」とありました。ここでは物語の場面しか綴れませんでしたが、作品の情景は伝わったかと思います。実際に見てみたいなぁと私は思います。今後イタリアに行く機会があるのでしょうか。