Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「ピエロと透視図法」について
「ピエロ・デッラ・フランチェスカ」(アンリ・フォション著 原章二訳 白水社)の「第5章 ピエロと透視図法」についてのまとめを行います。まず当時の透視図法の考え方ですが、空間上に幾何学的に図示するという考え方と、画家や建築家の仕事による詩法として扱う考え方があったようです。「ピエロの理論的考察は、空間中の物体と競い合った自分自身の経験を、記号化して一般化したものであった。そこから生まれたのが『透視図法論』であり、『五つの正多面体小論』である。」とあったようにこれは物理世界の法則ではなく、絵画空間を考える技法(詩法)であったようです。次に同じような考え方をした画家でピサネッロとウッチェッロが登場してきます。「ピサネッロは一方で紋章芸術に従事しながら、他方で肉体と顔を正面から、つまり充実したその形のままに描いて見せたのである。その結果、動物はアラベスクであり表皮であると同時に、また構造としても捉えられた。なかでも馬は臀から見られ、関節のふくれたシンメトリックな四肢でがっしりと立たされた。~略~ピサネッロのこうした面は以降、ジャン・フーケ、ウッチェッロ、そしてピエロ・デッラ・フランチェスカにひき継がれ、大きな臀と四角く張った鼻面を見せる馬が一個の有機体として描かれることになった。」ウッチェッロについてもこんな記述がありました。「ウッチェッロもまたピサネッロ的革新者であり、ルネサンス初期の実験と探求の熱気のなかに身を投じるとともに、もう一方では中世の伝統に忠実だったのである。~略~ウッチェッロは、事物を大きな透視図法にしたがわせて、しかるべき場所に配置しようと努力するのだが、それはむしろ目の悦びのため、言いかえれば、現実の美の秩序よりも架空の美の秩序のためであった。」これをピエロはどう見ていたのか、本書にはそこまでの記述はありませんが、読書している私がこの時代の画家の仕事に疎いために、どうしても私自身の考えが持てないのです。ピエロを含めた多くの画家の仕事を実際に見てみたい欲求に駆られているところです。