Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 新作陶彫19点目の成形
日曜日になると、相変わらず美大受験生が2人で工房にやってきます。それぞれ鉛筆による静物デッサンをやっていて、別々の専攻を希望しています。2人に共通しているのは、保護者の都合により2人とも小学校時代を中国山東省で過ごしていることです。勿論中国語も堪能で、2人で会話を始めると中国語になりますが、私がそこにいると日本語に切り替わります。今日は昼食時間に中国の話題になり、中国から取り寄せた動画を見せてもらいました。中国では伝統文化を現代風にアレンジする風潮があって、彼女たちのスマホで中国舞踊の美しい動画を鑑賞しました。ただし、中国は規制が厳しいので社会性のある現代アートをやるのは辛いかもしれないと言っていました。私は新作の陶彫制作に一所懸命取り組んでいて、現在19点目の陶彫部品を作り始めています。今日は19点目は成形のみで終わりましたが、既に18点が出来上がっていて、そのうち焼成が終わっているのが13点あります。何度となくNOTE(ブログ)に書いていますが、現在の制作状況は例年に比べると、もの凄く早く進んでいて、毎日工房に通って制作している実感を感じています。昨年まで週末毎にやっていた途切れ途切れの制作に比べると、時間的な部分だけでなく精神的に繋がっている一貫性を感じているのです。創作活動ではこの一貫性はとても大事なことで、思索を深めるのには好都合です。私がやっているのは陶彫による集合彫刻ですが、それは素材と手段であって、目的とするところは彫刻を置くことによって空間を変換することにあるのです。人は雑多な日常生活に埋没しているからこそ、ふとした非日常的な空間に触れることで、心が浄化し活性化することがあります。美術館やコンサートや映画館、遊園地に行くのも非日常空間に身を置きたいと切望しているためとも言えます。文化財は人の役に立たないのなら巨大なゴミだと誰かが言っていましたが、彫刻家にとっては辛い言葉です。学校の文化祭が終わると生徒たちが頑張って作ったモノがゴミとして処理されていくのを見ると、私の作品だってどうなるものか分からないと思っていたこともありました。それでも人の心を打つ作品を作りたいと念じて、今日も陶彫に励んでいました。