Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

週末 空間造形について考える
日曜日になり、いつも来ている美大受験生と共に工房で制作に励みました。陶彫成形がひとつ立ち上がる度、私はちょっとした感動を味わっていて、また陶彫部品が窯から焼成されて出てくる度に、自分の中から現れ出た不思議な生物的なモノの生誕を祝ったりしています。彫刻は絵画と違い、空間造形なのでリアルな世界に産み落とされた物体として認識でき、触感をもってそこに存在しているものです。私は幾度となくNOTEに書いていますが、彫刻は物体が有する空間を表現するもので、物体そのものは空間を演出するための装置でしかありません。人類が空間造形としての最初に認識したのは、大地に巨石を配置し、また石を積み上げたことではなかったかと私は考えています。岩山に洞窟を掘ったり、地下を掘ったりすることも空間造形の第一歩だろうと思います。私は大地に石材や木材で立ち上げたものをプラスの空間造形、洞窟や地下壕はマイナスの空間造形と位置づけていて、大地を座標軸にした空間の在り方を示すものです。それが芸術かというと、芸術の意識が芽生えたのは近代になってからのことなので、人類の長い歴史の中で、芸術品としての認識は最近のことと言わねばなりません。私は現代に生きる人間として、芸術行為としての空間を造形しています。私が思考するのは、古代遺跡の発掘現場にいるような架空の空間認識による彫刻で、出土され、空気に触れている部分がプラスの空間造形で、大地に埋蔵されている部分はマイナスの空間造形です。大地に埋蔵された部分は想像で補ってもらい、大地から生えてきた根っこのような造形を創作しているのです。現行の作品は陶彫部品の組み合わせによる複数の「島」を作ろうとしています。「島」と「島」を繋ぐ空間は木材を用います。ちょうど日本古来からある庭園から発想したもので、大海に点在する石組を陶彫部品で形成し、大海を象徴する砂利を厚板材を加工して表現しようと思っているのです。そんなことを考えながら今日は陶彫制作を進めていました。朝9時から夕方4時までの7時間を工房で過ごしました。秋になり、空気が爽やかさを増してきたので工房に留まる時間が長くなりました。夕方は美大受験生を家まで車で送り届けました。