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「ニューヨーク派の画家たち」のまとめ
「なぜ脳はアートがわかるのか」(エリック・R・カンデル著 高橋洋訳 青土社)の「第7章 ニューヨーク派の画家たち」をまとめます。「ニューヨーク派のアーティストの多くは、『アートは無意識から生まれる』というシュルレアリストの考えに啓発されていた。抽象表現主義と呼ばれるこの新しいアートに至る道を先導したのは、ウィレム・デ・クーニング、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコの三人であった。」デ・クーニングはオランダに生まれ、アメリカに移住した画家で、ヨーロッパで絵画を学んでいるため、その感性をアメリカに持ち込んでいます。「デ・クーニングは『発掘』で、現代における真理に関するこれら二つの主張の威厳ある統合を果たした。力強くかつ均整のとれたスタイルによって、キュビストが示す構造の厳格な中立性と、シュルレアリズムが持つ私的な衝動や自発性を統合したのだ。美術史を通じて、歴史、秩序、伝統に対してこれほど大きな敬意を払いつつ、動きの自発性を称揚した作品は他にはほとんどないであろう。」デ・クーニングの代表作品は「発掘」の他に「女性Ⅰ」があります。「『女性Ⅰ』は、美術史において今日に至るまで、もっとも大きな不安を掻き立てる女性のイメージを描いた絵の一つであると考えられている。母親の虐待を受けて育ったデ・クーニングは、『女性Ⅰ』で多産、母性、攻撃的な性的力、野蛮など、この永遠の女性のさまざまな側面をとらえたイメージを創造している。」次にポロックについての記述です。「彼(デ・クーニング)が具象的要素を完全に捨て去ることはなかった点に鑑みれば、『真の一撃』を加えたのはポロックであったと見ることができる。」ポロックは壁からカンバスを下ろして床に置き、革新的な制作方法を始めたのでした。「ブラシのみならずスティックを使って、空間に絵を描くかのようにカンバス上に絵の具を注いだり垂らしたりしたのだ。さらには絵の隅々までその作業を行えるようカンバスの周囲を動き回った。~略~意識的形態を無意識に動機づけられたドリップ・ペインティング技法に還元することで、ポロックは並外れた発明の才と独自性を発揮したのだ。」ロスコについては別章で扱っているようです。