Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「連盟ニュース」の記事より
私は(一社)日本美術家連盟の彫刻部に所属しています。師匠の池田宗弘先生が同連盟理事だった頃に、私を推薦してくれて彫刻部に入ることができました。公募団体に入っていない私は、美術界の動向をこの連盟から出されている機関紙「連盟ニュース」によって得ているのです。私は郵送されてくる「連盟ニュース」を毎回楽しみにしていて、私が美術を学び始めた学生時代に活躍をしていた作家の方々の近況を知ることにも興味関心があります。今回送られてきた「連盟ニュース」10月号に彫刻家速水史朗氏の特集が組まれていて、自分のことを振り返る契機になりました。私は速水氏とは面識がありませんが、私が学生だった40年以上も前から速水氏は東京銀座のギャラリーせいほうで個展をやっていました。私は当時個展をやっていた池田先生の手伝いをしていて、ギャラリーせいほうに足を踏み入れました。そこで陶彫の世界を知ることになりました。辻晋堂と速水史朗、この2人に私は陶彫の可能性を教えていただいたと言っても過言ではありません。インタビュー記事によると「僕は『粘土がすごく綺麗だな』と思ったんです。『そのまま残すにはどうしたらいいか?そうだ焼こう』そう思いました。昔は粘土は彫刻家にとっては彫刻をつくるある過程の途中であり作品ではないという時代でした。でも『こんなに立派な素材は作品にしないといけない』と考えました。」私は速水氏の考え方に共感を覚えます。「やっぱり自分のやっている仕事というのは生活の一部であると。僕が生きている生活の一部にこういう仕事がある。だから別のものではないのだと。自分が生きている証だということかな。」速水氏は90歳を超えて今年もギャラリーせいほうで個展を開催されます。速水氏は生まれ故郷の香川県では、若い頃に理科の教師をされ、美術科教師に転向されたと聞き及んでいます。専門は美術学校出身ではないところから現代彫刻に辿り着き、陶彫から石彫のモニュメントまで幅広く制作している速水氏のパワーを私も見習いたいと思っています。