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「発掘~灰壁~」について
今夏、東京銀座の個展で発表する中規模作品の題名を「発掘~灰壁~」にしました。「発掘~灰壁~」は2009年に発表した「発掘~赤壁~」に続くもので、立体の形態としては同じものです。直方体を横長に立てて、上部に陶彫部品置いて、それを複数個連結させます。NOTE(ブログ)のアーカイブから長い引用をいたします。「新作陶彫の土台に砂マチエールを貼りつけて、ようやく油絵の具で砂に色彩を施すところまできました。土台は直方体を立てたような形態で、それを崖に見立てて、その上に陶彫を置き、ちょうど街が連なるようなイメージにしました。崖の壁の部分は厚板を彫ってレリーフ状にしたものです。砂が貼ってあるので木目は消えています。崩れかけた壁といった最初のイメージに従い、色彩をばら撒いてシミのような斑点を作りました。何度も色彩を重ねて重厚さを出しました。それは彫刻的な作業ではなく、絵画的な要素をもった作業でした。」これは2009年の「発掘~赤壁~」制作時に記されたもので、当時この作品は連作になるだろうと書いています。あれから13年も経ってしまいましたが、漸く次の連作が出来上がってきたと言えます。崖の上に街が連なるイメージがまだ自分の中で眠っていたことが不思議ですが、壁には格子状の文様が彫り込まれ、その文様を陶彫部品にも施しています。この文様は大規模作品にもあって、今回の個展のコンセプトが以前の作品とは少しばかり異なっていると自分は考えています。個展に展示する2点の作品に共通する文様を施すのは、私にとって新しい試みで、この2点でひとつの世界観を表すように考えたのです。作品は一つひとつが独立したものですが、作者の中では鎖のように繋がっていて、その展開の中から新作が生まれてくるものではないかと私なりに思っています。