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「女面」のまとめ
「九州の民俗仮面」(高見剛 写真・高見乾司 文 鉱脈社)の「女面」をまとめます。「『変身』とは一体、何だろう。『仮面』が、人間が神に変身する重要な装置であることはあきらかであるが、『ウズメ』に象徴される古代の女性シャーマンは、どうやら仮面をつけていなかったようだ。ところが、ある時代(祭祀を男性シャーマンが司るようになった時代)を境に、女性の役を男性が仮面をつけて演じるようになる。これはアジアの仮面祭祀に共通するという。王や女性シャーマンが祭祀を行った時代は、祭祀そのものが『まつりごと』であった。それは、天候を占い、農事を占い、さらに軍事を占う、厳格な神事であった。その際、女性シャーマンははげしく神懸かりし、天の声=神の声を伝えた。『王』もまた天の声を聞き、決断を下す男性シャーマンであった。」男性が女面をつけて祭祀を行うという歴史観は、日本の古代史を紐解けば私にも納得がいきます。そもそも神楽とは何か、それをまとめた文章がありました。「神楽は、神社本殿での神事から始まる。猿田彦が行列を先導し、山門脇にある小さな猿田彦神社の境内に設けられた神屋に到着、そこで終夜舞い継がれるのである。まず、『一番舞』という少年二人による舞に始まり、『神帥』という四人舞の剣舞に続いて、『飛出』という剽軽な舞、赤い紐を使った二人舞『地割』、さらに『弓の舞』、『金山』と続いて、『志目』という女面が登場するのである。志目は、白い能面型の女面で巫女舞と思われる舞を舞う。」こんな流れが神楽にはありますが、私が九州で見た神楽はその一部でした。「考えてみれば、女性シャーマンとは、アマテラスやウズメに代表される渡来系のシャーマンばかりではなく、その土地の先住民を代表する女巫がいたことのほうが自然である。日本列島の縄文時代は、女性シャーマンを中心とした母系社会であったと考えられているし、東北のイタコや沖縄のノロ・ツカサなど、現代に至るまでその系譜は引き継がれているとみていい。」今回はここまでにします。