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「中国少数民族の仮面文化」のまとめ
「九州の民俗仮面」(高見剛 写真・高見乾司 文 鉱脈社)の「中国少数民族の仮面文化」をまとめます。本書は九州の仮面を扱う内容に特化していますが、今回の章だけは中国の仮面を取り上げています。著者高見乾司氏の同級生が中国での事業を展開していて、その契機から著者が中国少数民族と関わりを持ったエピソードが語られていて、仮面文化の起源を訪ねた貴重な文章になっていました。「中国の古代王朝は『夏』『殷』『周』と続くが、歴史に仮面文化の原型が記されるのは、『周』時代の記録書『周礼』、前漢時代の記録書『韓非子』などである。それによれば、『夏』の王『黄帝』は、『鬼神を泰山の上に集め、象に引かせた車に乗り、六頭の龍をつなぎ、木の精の”畢万”が車の横につき、軍神の”蚩尤”が先導をつとめ、風の神の”風伯”が道の塵払いをし、雨の神の”雨師”が道を洗い清め、虎や狼は前方におり、鬼神は後方におり、蛇は地を這い、鳳凰は空を覆った』となっていて、このころすでに『鬼』の観念や『五行』の思想、『儺』の儀礼などの原型があったと考えられる。」著者は四川省で観た劇について日本との関連を考察しています。「ある一夜、『青羊宮』に隣接する劇場で開催された『四川劇』を見た。四川劇は、四部によって構成されており、『雑技』と呼ばれる曲芸、日本の『狂言』にも通じる風刺劇、日本の文楽人形に似た操り人形がさまざまな芸をする『木偶伎』に続いて、『変面』と呼ばれる仮面劇が始まる。変面とは五色の仮面をつけた舞人が一つの所作をするたびに瞬時に仮面が変化する演技である。五色の仮面は、日本の神楽のような所作をしたり、火を吹いたり、派手なパフォーマンスを繰り広げたりする。あきらかに『五行思想』の影響を受けた演劇である。~略~私は中国の仮面文化がこのようなかたちで伝承されており、脈々と生き続けていることに感動し、九州から四川省・成都への旅が日本の仮面の起源を訪ねる旅となったことを確信したのである。」今回はここまでにします。