Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 幾度となく思い返す創作の原点
今日も昨日に続いて初夏を思わせる気候で、工房内は暑くも寒くもなくちょうど良い温度でした。ただし、このところ急激な温度変化があって、身体がだるく、作業を度々中断して休憩を取りました。今日は朝から美大生が来ていて、イメージトレーニングになる小作品をやっていました。午後は後輩の彫刻家がやってきて、彼が制作している厚板を工房に運び込んできました。私は相変わらず新作の土台の刳り貫き作業をやっていましたが、疲れが出ているのか、遅々として進まない状況でした。そんな時、私は創作の原点を思い返して、自分が創造する世界のイメージをもう一度頭の中で描くのです。輪郭が定まらない大地から掘り起こされた遺構が現在制作中の作品です。大地は積層になって遺構を覆っていて、積層の断面は崩れかけています。大地から顔を出している遺構は、全体のほんの一部に過ぎず、それが点在して風景を成しています。あたかも日本の石庭のような印象ですが、石庭と異なるのは自然の在るがままのカタチを使うのではなく、私の場合は西洋の彫刻的な考え方に立脚しているので、風景全てを造形化している点にあります。作品のタイトルが決まれば、このNOTE(ブログ)にタイトルの根拠となる私自身の造形思考を述べさせていただくつもりですが、今は疲れた頭に刺激を与えるべく、創作の原点を前後の見境なく書いているに過ぎません。私は紙にエスキースを記さないので、頭の中で幾度となく創作の原点を思い返すのです。最初は曖昧だったイメージが少しずつ具現化して、さらに視覚としての図像と相俟って、私には思考が生まれてくるのです。何かを創り上げるのには動機があり、裏付ける根拠があります。私が希求するものは何か、また鑑賞者に主張したいものは何か、造形は哲学でもあると私は考えていて、それらが一体化して初めてひとつの作品になるのでしょう。哲学や思索は造形の陰に隠れているのが美術作品の一般的な在り方ですが…。