Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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気分転換のために博物館散策
昨日から工房で新作の砂マチエール施工作業が始まりました。昨日は家内が手伝ってくれたので作業は思っていたより早く進みました。家内は現在邦楽器奏者ですが、大学では空間演出デザインを学んでいて、舞台美術制作も手がけたことがあるのです。実際の大道具作りも経験していて、こうした素材の扱いには慣れています。今後も砂マチエールの貼り付けは家内の時間がある時にやっていこうと思っています。新作の作業は先日より佳境を迎えていますが、今日は気分転換を図るために東京上野の国立博物館に家内と出かけていきました。運慶の息子庚勝が制作した「空也上人」像は京都の六波羅蜜寺にあって、私が教職にあった頃、修学旅行の生徒引率で度々京都を訪れ、六波羅蜜寺にはよく行っていました。阪神・淡路大震災の翌年にも六波羅蜜寺を訪れ、白壁に亀裂が入った状況も見ました。仏像が無事だったことを寺の関係者に聞いて、ホッと胸を撫でおろした記憶が甦ります。仏像は寺で拝観するのと、博物館で鑑賞するのでは同じ仏像とは思えない雰囲気が漂います。これは立体作品全般に言えることですが、作品が三次元空間に存在するため、そこでの空気や光陰によって見え方が変わるのです。今日出かけた「空也上人と六波羅蜜寺」展は、念のためネットで予約をしていました。ウィークディにも関わらず本展は混雑していて、「空也上人」像の周囲には多くの人が集まっていました。鎌倉時代に活躍した慶派の仏像に、私は一方ならぬ思い入れがあって、私に仏像の魅力を教えてくれたのは慶派の仏師たちなのです。20歳頃、私は平安時代の仏像が理解できずにいました。西洋彫刻を学んでいた私は、解剖学的な塊を有した運慶の仏像に彫刻の面白さを見取り、そこから快慶の静謐な世界を知り、それ故に数多の仏像を理解することが出来たのでした。「空也上人と六波羅蜜寺」展の詳しい感想は後日に回したいと思います。夕方上野から横浜に帰ってきて、横浜駅に隣接する画材店に立ち寄りました。新作に使う油絵の具の補充が必要だったためで、これを砂マチエールに滲み込ませるのです。溶剤はまだ工房に充分あると判断して、油絵の具だけ大量に購入しました。私の作品は陶土や焼成代金ばかりではなく、砂マチエールや油絵の具代金もかなりかかっていて、彫刻家と画家が並存しているようなものだなぁと思っています。絵の具材購入も含めて今日は気分転換のために楽しい一日を過ごせました。