Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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新作の塗装&葉山の美術館へ
新作「発掘~灰壁」と「発掘~崩層~」の木材土台の砂マチエール施工が終わり、昨日から油絵の具による砂マチエールへ滲み込ませる塗装作業が始まっています。まず「発掘~灰壁~」の基調となる色彩は灰色です。大量の灰色を作り、刷毛で丹念に色彩を滲み込ませていきました。砂マチエールは特製の硬化剤で厚板に定着させていますが、油絵の具にも硬化剤が含まれているので、乾けば強固なものになります。そこに色彩を変えた絵の具を散らせたり、滴らせたりして、灰壁の微妙なニュアンスを作り出していくのです。これは20世紀の巨匠ジャクソン・ポロックが実践したアクション・ペインティングと呼ばれた画法で、決して新しいものではありませんが、偶然の効果を狙うとしたら最適な技法ではないかと思っています。今日の午前中は、工房の床一面を使ってこうした絵画的な仕事をやっていました。家内が彩色を手伝ってくれたおかげで、午前中いっぱいかかると思っていた作業が早めに終わり、11時頃に家内と美術館に車で出かけました。神奈川県立近代美術館葉山は何度も足を運んだことのある美術館で、海に面したロケーションが快い気分にさせてくれます。生憎雨天でしたが、現在この美術館で開催している「朝倉摂」展は、家内にとって必見に値する外すことの出来ない展覧会なのでした。家内は美大で空間演出デザインを学びました。その内容はほとんど舞台美術ばかりで、芝居やオペラを視覚で支える舞台美術に家内は魅了されていました。家内が大学生の時に、舞台美術家朝倉摂に会っています。そこで受けた作家のオーラと強烈な印象が忘れられないらしく、今日の展覧会鑑賞に繋がりました。図録掲載のプロフィールで確認すると演出家蜷川幸雄と組んだ舞台を手掛けていた時期らしく、油の乗り切った流麗で迫力ある世界を展開していたのでした。展覧会場で意外だったのが、絵画の存在でした。朝倉摂は日本画家として出発し、抽象絵画を模索し、それから舞台美術に腰を入れていったようで、舞台美術に見られる絵画性はこんなところからきているのだろうと推察しました。詳しい感想は後日改めます。今日は充実した一日を過ごしました。