Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

「絵画の黄昏」を読み始める
現在、「彫刻の歴史」(A・ゴームリー M・ゲイフォード共著 東京書籍)を読んでいますが、この書籍は分厚くて重量があるため、鞄に携帯することが出来ません。横浜の自宅から東京銀座のギャラリーせいほうに通うために別の書籍を鞄に携帯することにしました。「絵画の黄昏ーエドゥアール・マネの闘争ー」(稲賀繁美著 名古屋大学出版会)は、いつどこの書店で購入したものか忘れてしまいましたが、自宅の書棚に眠っていたものを選びました。印象派はどのようにして始まったのか、その起源を探ることは私の興味の対象です。概要として私が理解しているのはエドゥアール・マネによる「草上の昼食」と「オリンピア」のスキャンダルがありました。それがどのように描かれ、大衆からのどんな反応があったのか、時代背景を踏まえた詳細な流れを知らないまま、私は見過ごしていました。絵画の価値基準が変わるときは、人々の冷笑やら摩擦があったはずで、歴史を経た今となっては、そうした動きに納得も出来ますが、当時は当然サロンから落選し、さらに落選者展に出品されても、それだけでは済まない事情があったようです。19世紀の神話的な世界を理想の裸体像の中で表現した絵画では、現実的な世界をそのまま描くことはなく、あくまでも美の基準に則って描くことで、その美しさを競っていました。そうして認められた絵画世界に比べれば、「オリンピア」は何というリアルな裸体像でしょうか。今では当たり前な世界には、どのような運命が待っていたのでしょうか。当時の価値基準を知ることも、現在を生きる私たちにとって、美術史を再考するものだろうと思っています。「彫刻の歴史」と「絵画の黄昏」が今夏、私が読むべき書籍だと決めました。