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note

週末 陶彫とのつき合い方
週末のNOTE(ブログ)には、創作活動に関わることを書いています。現在私が進めている彫刻作品の素材はやきものです。つまり陶彫です。つき合いとしては30年以上にもなり、扱っている陶土は複数の種類を割合を決めて混合していますが、30年以上ずっと同じ割合で作っているのです。私の作品はやきものと言っても釉薬をかけず高温で本焼きをしているため、土肌の効果や釉薬の流れに景色を見ることもありません。そこが陶芸とは違っていて、所謂やきものの情緒的な良さを否定している面もあると思います。私にとって陶彫は単なる彫刻の素材であって、それ以上ではないのです。焼成が終わると、私の陶土は錆びた鉄のような雰囲気を齎せますが、鉄で作るよりも土特有の暖かさを感じさせてくれて、そこが気に入っている要素です。錆鉄であれば時間が経つと、錆が鉄そのものを腐食させていきますが、陶彫であればそれはありません。しかも鉄で溶接したり、鋳造したりすれば相当な手間がかかるところを、陶彫ならそこまで手間がかかりません。ただし、陶土とのつき合い方で難しいのは制作途中で長く放置できないことがあります。石や木や金属ならずっと置いておいても素材が変容することはありません。そこへいくと陶土はまさに生きもので、乾燥具合によって造形が不可能になります。私の造形方法はタタラと紐作りの併用で、タタラは若干乾燥をしていないと、立ち上げることができませんし、裏面補強する紐は乾燥してしまうと貼り付けることが出来ません。畳大のタタラを作った後、ビニールで覆いますが、どのくらいの湿り気が丁度いいのか、自分の感覚に頼らざるを得ません。裏面は櫛べらで削って、そこにドベと呼ばれる陶土を水で溶いた接着剤を塗り、陶土を紐状にしたものを貼り付けて補強していきます。彫刻としての造形をする上で、やきものとしての職人作業が必要なのです。陶土の柔らかさは作品のどこに使うかで微妙に変わってくるのです。そんなことを思いつつ、今日は汗を流しながら土練りとタタラ作りをやっていました。