Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 制作の向こう側へ
週末になりました。公務員を退職後は週末もウィークディも変わらず創作活動に邁進しています。それでも週末になれば1週間の振り返りを行ない、今週の制作状況を確認しています。現在作っている新作は、陶彫による立方体を日々やっている状況なので、取り立てて書く必要を感じません。私は同じサイズの立方体を作りながら、その向こう側に見える景色を眺めているのです。幾何学的な抽象形態は、何か具体的な事物を描くことはありません。それだけにあらゆる解釈が可能で、鑑賞者が感じるままに委ねているとも言えます。個展に来られた方に説明を求められることがありますが、従来の作品なら大地から発掘された遺跡としてイメージしてもらうこともありました。陶彫制作を始めた契機が、エーゲ海沿岸に広がるギリシャ・ローマの遺跡を見て、そこにイメージの源泉を求めたので、空間解釈としては分かり易いところもありました。ところが新作はそうした遺跡のイメージを払拭してしまい、源泉の拠り所がなくなってしまうことがあると思います。陶彫制作の向こう側にはどんな景色が広がっているのか、立方体をブロックのように積んで、またバラバラに点在させていく作業の中で、一体何が見えてくるのか、私自身も全体イメージは予め持たないように努めていこうと思っています。展示をするその場で、私を含めたスタッフ全員が何かしら考えながら、また個々のイメージを掴み取りながら、イメージの共有を図っていくつもりでいるのです。私のスタッフは雇われスタッフではありません。一人ひとりが表現者であり、主体的な考えを持つ人たちなので、そうした作業が可能だと信じています。新作はどこに組み込まれるか分からない細胞をコツコツ作っているわけで、私も平均的な力量を持って制作をしています。多分、来週もその次も同じ作業の繰り返しに終始することと思います。それが現行作品のコンセプトなのです。