Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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窯のメンテナンス
私の陶彫作品の最終工程は焼成であり、陶芸用の窯は絶対に必要な設備です。陶芸用の窯には薪窯、灯油窯、ガス窯、電気窯の4種類があり、相原工房に設置しているのは電気窯です。陶芸の醍醐味は制作工程最後に控える焼成にあり、その中で一番気持ちを揺さぶられるのは薪窯です。これは最も原始的な焼成方法で、耐熱レンガを積んで登り窯を作り、そこに薪をくべて窯内の温度を上げていくのです。この方法は陶芸の盛んな地域では大勢の協力者が協働で窯を焚き、何日も続く焼成作業は祭礼行事のような按配になります。ひと昔前までは窯焚きは共同作業でした。現在では登り窯も減り、作家一人が所有する窯で焚いているのが現状です。私の工房に設置した電気窯は、4種類の窯の中で一番手間が掛からないので選びました。工房に窯を設置した頃に私は教職にあって、焼成に時間がかけられず、また横浜のような場所では薪に使う材料もないため、電気窯にするしかなかったのでした。そもそも私は彫刻の素材として陶土を使い、陶芸としての面白さを求めていないため、窯に必要以上の思い入れがないのです。そんな電気窯でも数年に一度はメンテナンスが必要になります。電気窯は耐熱レンガの溝に熱線が張り巡らせてあり、全体を金属板で囲っています。時間経過とともに金属板に錆が生じます。窯を焚くと乾燥した作品や窯内の空間から僅かに蒸気が出て、それで錆が生じるのです。錆を削り取り、耐熱用の塗料を塗って仕上げますが、今日は懇意にしている職人集団がやってきて、賑やかに作業をしてくれました。新品同様になった窯を使って、また明日から頑張ろうと思います。