2024.03.14
今日は朝早くから工房に行き、陶彫制作をしていました。陶彫制作では、毎日自分でノルマを課し、ひたすらノルマを達成している感があります。ただし、自分を追い立てて余裕がなくなるのを避けるために、私は時折美術館に鑑賞に出かけているのです。実技と鑑賞は車の両輪と私は自分に言い聞かせていて、空間芸術は物質を介在する哲学でもあるとも考えています。そんな意味も込めて、今日は昼前に横浜の自宅を出て、千葉県にあるDIC川村記念美術館に車で向かいました。今日は家内が同行してくれました。DIC川村記念美術館で開催していたのは「カール・アンドレ」展で、カール・アンドレはミニマル・アートを代表する米国人作家で、今年の1月に逝去しています。ミニマル・アートとは抽象表現主義の主観を否定し、感情やニュアンスといったものを排して匿名的な形体や構造をもった、何ものをも表現しない彫刻や絵画を指すものです。私は学生時代にミニマル・アートの旗手ドナルド・ジャッドの作品を見て、ついに芸術はここまできたかと思ったのでした。ただし、カール・アンドレの立体作品はやや趣が違っていて、確かに匿名的な形体ではあるけれども、素材が木や鉄であるため、木の特徴である木目や裂け目がそのままあって、何ものをも表現していないはずが、芸術家の作為とは別の要素が加わっていたように思います。鉄板を並べた作品もそれぞれに錆がついていて、乾いた情緒が感じられました。確かに作家が素材を彫り刻むような行為はしていないので、「もの」派のように素材は素材のまま存在していたわけですが、そこに意図的な潔さがあって、私としては同時に心地よさも感じました。広い部屋に点在する素材の集合体は、その空間との関わりが私の感覚のツボを刺激したらしく、展示風景に満足していました。詳しい感想は後日改めたいと思います。今日は充実した一日を過ごしました。