Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 陶によるオブジェを考えた1週間
週末になりました。今週を振り返ります。今週も毎日工房に通い、陶彫制作に精を出しました。1週間後に迫った図録撮影に向けて、制作は予断を許さない状況になっています。その中で陶彫には焼成という制作工程があり、作品を窯に入れている間は、窯以外のブレーカーを落としているので工房の電気が使えないのです。こればかりは焦っても仕方がないし、慎重な姿勢を軽んじれば、作品が割れることもあるのです。今週は木曜日に窯入れを行ない、その日は家内と東京の展覧会を回ることにしました。木曜日に出かけたのは先輩の版画家の個展と、京都で結成された「走泥社」の全容を見せる展覧会でした。とくに「走泥社」は陶によるオブジェを作った陶芸家たちの痕跡を示していて、私は昔から興味があり、「走泥社」が関わった展覧会には幾度となく足を運んでいました。私が誤解していたのは、私の陶彫は「走泥社」が起源と思っていたのですが、陶芸家が表現を拡大する中でオブジェを作るようになった「走泥社」と、彫刻の素材として陶を選んだ私との差異でした。確かに私は「走泥社」同人の作品を見て陶彫を始めたわけではなく、学生時代にギャラリーせいほうで見た辻晋堂氏や速水史朗氏の陶による彫刻を見て、それが現在私が作っている発掘シリーズの契機になっています。「走泥社」の始めた陶によるオブジェは、それでも私を魅了してくるのです。陶によるオブジェの中には引っ掻いた跡が不思議な文字のようになっていて、平面性が強調された作品もありました。土の表現の可能性を追求した実験作品が多くて、単なる形態を焼き締めた陶彫とは異なる世界がありました。これは陶芸家として陶土や釉薬を知り尽くした人でないと出来ない表現でもあるわけで、私としては刺激を受けることになりました。