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「《聖母十五玄義図》の発見」について
「聖母像の到来」(若桑みどり著 青土社)の「第6章 日本における聖母のタベルナクル」は4つの単元から成っていて、今回は「1《聖母十五玄義図》の発見」を取り上げます。因みにタベルナクルをネットで調べると聖書に登場する移動式の神殿の意味があります。「『聖母十五玄義図(ロザリオの聖母)』の画像は、ロザリオを用いての民衆の信心形式が、日本の信者の間に普及していたため、数多く制作されていたと考えられ、現代まで生き延びた遺品も三種類ある。一枚は高槻の東藤次郎方から発見された『東本』とされるもの、もう一枚は浦上天主堂旧蔵で原爆投下によって失われたもの、最後の作品が高槻の原田辰次郎方から発見された『原田本』(京都大学蔵)である。」描かれた年代はどうだったのでしょうか。「まず、1614年以前に、ロザリオの聖母の祈禱と、そのための掛け軸状の絵画は需要に応えて多数制作されていたものとみられること、第二に、ニコラオが去り、著名なキリシタン画家がマカオに去ったとしても、すべての画家が日本を去ったのではないこと。したがって、潜伏下で『ロザリオ祈禱』掛け軸を描くことのできる画家は存在した。そして潜伏し、信者とともに生きる(または死ぬ)ことを選んだ宣教師も相当数いたのである。」次に聖母像の構成についてです。「聖母子と四聖人の周りには正方形に近い15の区画がぐるりと取り囲み、この部分は曼荼羅に似ていなくもない。しかし、それはキリスト教にとって重要な教義を説明する15の場面であり、同時に、マリアとキリストの生涯の重要場面でもある。左下から時計周りで、『受胎告知』『聖母の訪問』『イエスの降誕』『イエスの神殿奉献』『博士と議論する少年イエス』の5枚、すなわちイエスの受胎から少年時代の事績の5場面が描いてある。これは聖ドミニクスが始めたといわれる『ロザリオの祈禱』のなかの『聖母の御喜び』にあたる5場面である。さらに画面上の左から『ゲッセマネの園の祈り』『キリストの鞭打ち』『荊冠のキリスト』『十字架担ぎ』『磔刑』の受難の5場面が描かれているが、これは『聖母の御悲しみ』の場面である。画面右側では『キリストの復活』『キリストの昇天』『聖霊降臨』『聖母の被昇天』『聖母の戴冠』がならび、これは『聖母の栄光』の5場面である。」今回はここまでにします。