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竹橋の「下村観山展」
先日、家内と東京の展覧会を巡った時に、竹橋にある国立近代美術館で開催している「下村観山展」を見てきました。本展はまだ始まったばかりの展覧会でしたが、多くの人が鑑賞に訪れていました。日本画壇について浅学の私でも、横山大観、菱田春草、そして下村観山の3巨匠についての業績は理解しているつもりです。観山のまとまった作品をじっくり観たのは、私は初めてだったので、超絶技巧による描写に目を瞠りました。東西の古典に学んだ観山の画力には、暫し足を留めて見入るほど凄さが伝わってきました。図録よりその理由を拾います。「先人の創作物に正面から向き合って現代との接点を探すことができたのは、観山がそれを熟知していたからであることは間違いない。~略~観山は古画模写事業をとおしてその『伝統』形式の一端にかかわった。修業の一環として古画を学んできたがゆえに、自分もまた『伝統』の末端に位置することを自覚したと思われる。」(中村麗子著)その実践記録が展示されていて、単なる模写ではない表現に観山独自の世界観も出ていました。また後世に影響を与えたことも図録にありました。「これまで同世代の大観らと比較したため、晩年の宋元画への傾倒は『回帰』という言葉で表され、マンネリ化とも評される一因となってきた。しかし、速水御舟(1894-1935)・徳岡神泉(1896-1972)・岸田劉生(1891-1929)といった次世代が日本画・洋画を問わず細密描写に強い関心を持ち、新たな眼差しで宋元画を見直し、自らの作画の糧にしたことを合わせ考えると、この時期における観山の、技巧を駆使した、より深化した表現は若い世代への応答と見なすこともできよう。」(板倉聖哲著)画面全体に金泥を塗り、遠近によって色彩の濃淡を変えていく手法と写実的描写は、観山のさまざまな作品に見られますが、私を捉えたのは「木の間の秋」と「小倉山」で、確か「小倉山」は横浜美術館所蔵作品として同館で見た記憶があります。本展を巡っていると巧みな描写に目が慣れてきますが、それでもクオリティの高さが「下村観山展」の魅力だろうと思います。