2026.08.26
昨日、上野にある東京都美術館で開催されている「百花繚乱」展に家内を誘って行ってきました。本展には「海を越えた江戸絵画」という副題があり、大英博物館日本美術コレクションによる展示でした。名品ばかりが居並ぶさまは、どこに焦点を当てていいのか、眼が泳いでしまうような驚きがありましたが、その中でも私は日英米の3か国に分かれていた襖絵が150年の歳月を経て再会した絵画群に圧倒されました。日本のものは青森県津軽の旧家に伝わる「春景花鳥図襖」、英国のものは大英博物館所蔵の「秋冬花鳥図襖」、その襖の裏に米国シアトル美術館所蔵の「琴棋書画仙人図襖」があり、これが一堂に集まったのは圧巻で、鑑賞される人も多く、私は人混みを掻き分けて堪能してきました。描かれた当時の狩野派の力量は、全体構成から隅々に至る描写表現にまで、その頂点と言っていいほど多様性に富み、厚く盛られた花びらや鳥の群れにも神経がいき届いていました。図録より描かれた制作背景を引用いたします。「これら障壁画群は、他の障壁画の場合と同様、ひとりで描いたのではなく、棟梁として宗眼重信が自分の造形に従う弟子を率いて描いたはずである。そのため、場所によって多少の筆の違いは生じるが棟梁の画風の範囲に収まる。桃山末江戸初期の狩野派において、山楽、内膳、興以そして宗眼重信といった門人筋の実力絵師たちは、狩野派血筋の絵師たちを力強く支えていた。質量ともに豊かなことが認識された旧・談山神社の襖絵群は、狩野宗眼重信の代表作と言え、より重要視されなければならない。」(山下善也著)こうした襖絵群だけでなく、同展には円山応挙の「虎の子渡し図屏風」があったり、浮世絵に関しては有名な絵師の代表作が並んでいました。日本の美術史を網羅しているような充実した展示に、これがロンドンからの一時帰国展であることを忘れてしまうような錯覚に陥りながら、英国で保存や修繕に力を尽くしてきた多くの人たちに、日本人としては感謝するとともに複雑な心境にもなりました。芸術作品は、どの国のどの時代のものであっても人類の財産として共有すべきものなのだろうと、改めて自覚しました。