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絞首台の上のカササギ
ヨーン・フェレメレン著「ピーター・ブリューゲル物語〜絞首台の上のカササギ〜」(鈴木久仁子・相沢和子訳)を今日読み終えました。これは創作だと思っても、ブリューゲルの短くも過激な一生がいろいろな人との関わりの中に語られ、また性格描写も面白く、さもありなんと感じてしまいました。ドラマ仕立てに惹き込まれ、我を忘れてブリューゲルの生きた時代に思いを馳せました。40代で己の命を悟り、右腕が痛みで利かなくなっても、調子のいい時は絵画制作に没頭し、それがないと気が狂ってしまうほどの常軌を逸した創作意欲。本当にそんな人だったのか、資料が少ないことで返って、その人の一生に迫ってみたいと思うのです。「絞首台のカササギ」は物語の中では、子どもの頃に描いたデッサンをもとに、命を全うする最後に油彩としてまとめ上げたもので、ブリューゲルの一生を物語るテーマにしていました。本当に楽しめた一冊でした。